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飲食店開業の流れを詳しく解説!必要な資格や手続き、成功させるポイントとは?

飲食店を開業する夫婦

この記事は、食品容器・資材専門の通販サイト「容器スタイル」が監修しています。

飲食店開業にはどのような準備、手続きが必要なのでしょうか。

飲食店開業までには6ヵ月から1年ほどの期間が必要とされています。飲食店を成功させるためにも、開業までの流れを知り、開業準備を進めていきましょう。

今回は、飲食店開業の流れを10ステップに分けて紹介し、開業に必要な資格や手続き、事業成功のポイントを解説します。飲食店の開業を目指す方は、まずはこの記事を読んで開業までの流れをつかみ、開業の準備を進めてみてください。


飲食店開業までに必要な期間は6ヵ月~1年

飲食店開業までには、店舗のコンセプトの検討から物件探し、資金調達、備品購入、各種手続きなど、さまざまな工程が必要です。

開業にかかる期間は、店舗の種類や大きさにもよりますが、一般的に6ヵ月~1年ほどかかるといわれています。

飲食店を長く運営していくためには、開業前の準備をいかに丁寧にしておくかが重要です。急いで開業しようとすると必要以上にコストがかかったり、開業後に問題が起こったりする可能性があります。計画的かつ余裕を持って開業の準備をしていきましょう。

飲食店開業の流れ


ゴールまでのステップ

飲食店開業の流れを、以下の10ステップに分けて、時系列順に解説していきます。一つひとつポイントを押さえて、スムーズな開業につなげましょう。

  1. コンセプト作り
  2. 事業計画の策定
  3. 物件探し
  4. 資金調達
  5. 内装工事・メニュー作成
  6. 厨房設備の購入
  7. 什器・備品の購入
  8. 各種手続き・仕入れ業者の契約
  9. スタッフの採用・教育・開店の告知
  10. プレオープン

1.コンセプト作り:1年前

業種や業態、ターゲットの年齢層や属性、店舗の強みなど、飲食店を運営するうえで基礎となるコンセプトを具体的に設計します。

コンセプトが曖昧だと、メニューや価格設定、内装デザインなどが決まりづらくなり、競合との差別化も図れません。また適切にコンセプトを設定していない場合、開業後の売上低迷を招く可能性もあるため、じっくりと時間をかけてコンセプトを設計しましょう。

コンセプトの作り方については、本記事最後の「飲食店開業を成功させるポイント」で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

2.事業計画の策定:11ヵ月前

コンセプトが決定したら、コンセプトをもとに事業計画を策定します。事業計画とは、事業内容や収支計画、経営戦略などをまとめたものです。

計画策定はビジネスモデルや、今後の見通しを整理するための重要な工程の一つです。内容は細かく具体的に記載するとともに、収支などの数値は明確な根拠をもとに算出しましょう。

また、事業計画書は法人口座の開設や融資を受ける際にも必要になります。事業の将来性を論理的に説明できなければ、融資は期待できません。効率的な資金調達のためにも、説得力のある事業計画を策定しておくことが大事です。

3.物件探し:10ヵ月前

飲食店の物件契約は、通常の賃貸契約と同様の手順で行ないます。コンセプトや事業計画にしたがって、求める立地や規模に見合う物件を探しましょう。

物件探しと並行して、施工会社選びもしておくと、開店作業がスムーズに進みます。物件探しの際に施工業者に帯同してもらえれば、施工に関する具体的なアドバイスを受けられるため、できるだけ物件選びの前に施工業者を見つけておくのがおすすめです。

店舗用物件は、大きく以下3種類に分けられます。コンセプトや予算に合ったタイプを選びましょう。


店舗用物件の種類 特長
路面店舗 通りに面した1階の店舗。人目につきやすいものの、賃料・保証料が高い。
人気が高いため空き物件を見つけるのにも時間がかかる可能性がある
空中店舗 ビルの2階以上にある店舗。集客性が低いものの、路面店舗より賃料は安い。ロケーションを売りにできる可能性がある。
階数が高い店舗はエレベーターの設置の有無もチェックが必要
地下店舗 地下にある店舗。路面店舗より集客性が低い。路面からの音が入りにくいため、落ち着いた雰囲気を作り出せる。
顧客獲得のためにWebマーケティングなどに力を入れる必要がある

また、前に営業していた店舗の備品や什器、家具などが付いている居抜き物件の場合、設備がある程度そろっているため、少額で開業できます。初期費用を抑えたい場合は、居抜き物件がないかまず探してみてください。

物件が決まったら、仮契約を行ないます。仮契約の際の手付金や、開業準備期間中の賃料について、物件オーナーと相談しておきましょう。

4.資金調達:6ヵ月前

物件が決まれば、席数や従業員数などを具体的に設計できるため、事業計画により説得力を持たせられます。事業計画をもとに、自己資金で足りない部分を融資で補いましょう。

必要資金としては、物件を借りるための補償金や礼金、厨房器具の設置、従業員の採用費用、メニュー策定費などが挙げられます。

飲食店の開業資金は、1,000万円ほど用意するのが望ましいとされています。自己資金があるほど融資を受けやすくなる傾向があるため、開業資金は可能な限り自己資金でまかなうことがおすすめです。

資金調達方法としては、親族や友人から借りる、金融機関から融資を受けるなどが挙げられます。資金調達法のなかでも、日本政策金融公庫の融資制度は、一般的な金融機関より低金利で審査が通りやすいという特徴があります。複数の資金調達法を比較して、自分に合ったものを選択しましょう。

また、開業に関する補助金制度がないか調べておくことも大切です。開業時に使える補助金には創業促進補助金、開業後に使える補助金には小規模事業者持続化補助金やIT導入補助金などがあります。

創業促進補助金は地方公共団体が実施主体となっている制度で、自治体によって名称や事業詳細が異なり、例えば、東京都では「創業助成事業」の名称で事業が実施されています。事業を取り扱っていない自治体もあるため、まずは自治体へ問い合わせてみましょう。

<a href="https://startup-station.jp/m2/services/sogyokassei/"target="_blank" rel="noopener">TOKYO創業ステーション「創業助成事業」</a>

また、小規模事業者持続化補助金は販路開拓等の取り組みを支援する補助金、IT導入補助金は業務効率化やDX促進を目的としたITツール導入費用を支援する補助金です。補助金によって利用用途や利用条件が異なるため、補助金の内容を良く理解したうえで申請手続きをしてください。

商工会議所「小規模事業者持続化補助金」

経済産業省 中小企業庁「IT導入補助金」

補助金は基本的に返済不要であるため、活用できれば費用負担を減らせます。

5.内装工事・メニュー作成:5ヵ月前

店舗の内装計画を立てたうえで工事を始めましょう。

内装計画ではレジの位置や通路、厨房内の配置など、コンセプトや実用性を考慮することが大切です。計画内容によっては工事に時間がかかるため、開業5ヵ月前くらいから取りかかるのが望ましいとされています。

提供するメニューは様子を見ながらカスタマイズしていく必要があるため、メニュー作成も開業5ヵ月前くらいから取りかかるのがおすすめです。

6.厨房設備の購入:4ヵ月前

内装が完了したら、厨房設備を導入します。冷蔵庫やシンク、ガスコンロなど、厨房の設計に合わせて大きさや導入数を決定しましょう。導入コストを抑えたい場合は、リースや中古品の利用を検討するのも手段の一つです。

厨房設備は、設置基準など、保健所等が定める一定の基準を満たしている必要があります。設置基準を満たしているかを必ず確認してから、設備を導入しましょう。なお、厨房設備の設置基準は保健所によって詳細が異なります。例えば、東京都での設置基準は下記リンク先のパンフレットのようになっています。参考にしてください。

東京都「新たに食品に関する営業を始められるみなさんへ ‐食品関係営業許可申請の手引‐」

7.什器・備品の購入:3ヵ月前

テーブルや椅子など飲食店経営に必要な備品を購入します。飲食店に必要な什器や備品には、以下のようなものが挙げられます。備品リストを作成して、抜け漏れがないよう注意しましょう。


項目 必要な備品
厨房 包丁・まな板・鍋・フライパン・バット・ラップ・ペーパータオル 
 調味料入れ・ボール・ざる・はかり・計量スプーン・お玉 など
食器 水用グラス・ジュース用グラス・ティーカップ・コーヒーカップ
ピッチャー・小皿・平皿・深皿・パスタ皿・スプーン・フォーク など
客席 メニュー・トレー・おしぼり・調味料入れ など
レジ 釣銭トレー・電卓・文房具・領収書 など
その他 ゴミ箱・ちりとり・看板・傘立て・雨天用マット など

購入する備品は、店舗のコンセプトに沿ったものを用意することが大切です。店舗のコンセプトに合った色やデザインのものを使用しなかった場合、店全体の雰囲気が崩れてしまう可能性もあります。

また、提供するメニューや提供方法によっても必要となる備品の種類や数は変わります。想定される注文数をふまえて、余裕を持たせた数の備品を用意しましょう。

8.各種手続き・仕入れ業者の契約:2ヵ月前

開業2ヵ月前には、開業手続きや資格取得、届出などを行ないます。必要な資格や届出は店舗の業態や規模によって異なるため、あらかじめ必要な資格や届出を確認しておくことが大切です。

飲食店開業に必要な資格と手続きについては、本記事後半で詳しく解説しているので、参考にしてください。

また、事務手続きと並行して、仕入れ業者の選定・契約を行ないましょう。仕入れ業者選定の基準としては、食材の種類や仕入れ価格、配送方法・期間、対応の柔軟さなどが挙げられます。

原価は販売価格の20~35%前後が目安です。料理の質を落とさず、原価を抑えられるよう、仕入れ業者の選定は慎重に行ないましょう。

9.スタッフの採用・教育・開店の告知:1ヵ月前

SNSやチラシ、求人サイトなどを活用してスタッフを募集します。

オープン前に説明や研修を行なえるよう、スタッフの採用は1ヵ月前には完了しておく必要があるため、募集自体は研修期間をふまえて行なわなければなりません。採用に時間がかかりそうな場合は、3ヵ月前くらいから募集をかけておくと、余裕を持った採用ができます。

開店の告知も、開業1ヵ月前には始めるのがおすすめです。グルメサイトやSNSなどを活用して、できるだけ多く集客しましょう。

10.プレオープン:1週間前

開業1週間前には、いよいよプレオープンです。招待客を呼んで、ホールやキッチンのオペレーションに問題がないか確認しましょう。

プレオープンで実際に営業してみることで、今まで気付けなかった問題を発見できます。想定どおりにできたところ、できなかったところを洗い出して、開店までに改善してください。

飲食店開業に必要な資格


資格

飲食店開業には、食品衛生責任者および防火管理者の資格が必要です。この2つの資格は飲食店の営業許可証を習得する際に必要となるため、許可申請に間に合うよう、早めに取得しておきましょう。

食品衛生責任者

食品衛生責任者は食品衛生法に基づく資格です。食品衛生責任者のおもな役割は、店舗の衛生管理の指導・監督であり、1店舗に1人は必ず配置しなければなりません。

食品衛生責任者になるためには、都道府県等が主催する講習会の受講が必要です。受講料は1万円ほどで、講習は一般的に1日で修了します。講習後にテストを受け、合格すれば食品衛生責任者の資格を取得できます。

なお、栄養士や調理師の資格保有者は講習の受講は不要です。食品衛生責任者の資格については、最寄りの食品衛生協会または保健所にお問い合わせください。

防火管理者

防火管理者は、収容人数が30人以上の店舗で必要になる資格です。火災等による被害を防止するために、消防計画を作成したり、防火管理上必要な業務を計画的に行なったりすることが、防火管理者のおもな役割となっています。

防火管理者の資格は、日本防火・防災協会が実施する講習会を受けることで取得できます。講習にかかる費用は7,000円~8,000円ほどで、店舗区画の広さによって、受講すべき講習が異なります。

なお、防火管理者には甲種と乙種の2種類があります。店舗延床面積が300平米未満の場合は乙種防火管理者または甲種防火管理者、店舗延床面積が300平米以上の場合は甲種防火管理者の資格を取得しましょう。


講習種別 講習時間 講習内容
甲種防火管理新規講習 おおむね10時間
(2日間講習)
防火管理の意義および制度
火気管理、施設・設備の維持管理
防火管理の訓練および教育
防火管理の消防計画など
乙種防火管理講習 おおむね5時間
(1日間講習)
上記の講習事項のうち、基礎的な知識および技能

参考:一般財団法人 日本防火・防災協会「防火管理講習」

飲食店開業に必要な手続き


営業許可証

飲食店開業には、さまざまな手続きが必要です。手続きにはそれぞれ期限があるため、期限を過ぎないよう早めに手続きしておきましょう。ここでは、おもな手続きについて説明します。

営業許可申請

基本的に食品を扱う店舗を営業するには、食品衛生法に基づく営業許可証が必要です。店舗が完成する日の少なくとも10日前までに、営業許可申請を済ませておきましょう。

また、営業許可の申請にあたっては、施工会社から設計図面を受け取った時点で、保健所へ事前相談するのがおすすめです。事前に相談しておけば、工事後に設計変更が必要になり、追加費用がかかるといった事態を防げます。

営業許可申請後には、保健所による立入検査が実施されます。検査項目には以下のようなものが挙げられますが、地域によって基準が異なる場合があるため、あらかじめ確認しておきましょう。

営業許可の立入検査の項目例

  • 厨房と客席を隔てる仕切りがある
  • 使用目的に合ったサイズ・数のシンクがある
  • フタ付きのゴミ箱が設置されている
  • トイレに手洗い場が設置されている

開業届(個人事業主の場合)

個人で起業する場合は、開業した日から1ヵ月以内に、管轄の税務署へ開業届を提出しましょう。開業届を提出せずに営業しても罰則はありませんが、開業届と後述の青色申告承認申請書を出せば、青色申告による節税効果を受けられます。

青色申告承認申請書

青色申告承認申請書は、確定申告で青色申告するために必要な申請書です。開業届と一緒に税務署に提出するのが一般的です。

青色申告では会計帳簿の提出が必要になりますが、税金計算において以下のような大きなメリットを受けられます。

  • 青色申告特別控除:最大65万円の特別控除を受けられる
  • 純損失の繰り越し・繰り戻し:事業で生じた純損失を3年間にわたって所得金額から差し引ける
  • 青色事業専従者給与:親族等へ支払った報酬を経費として所得から控除できる など

法人設立届出書(法人の場合)

法人として飲食店を開業する場合は、管轄税務署、都道府県税事務所、市区町村役場(東京23区を除く)へ法人設立届出書を提出しなければなりません。管轄税務署は開業後2ヵ月以内、都道府県、市区町村へは開業後1ヵ月以内に届出が必要です。

給与支払事務所等の開設届出書(従業員を雇用する場合)

従業員を雇い、給与を支払う場合は、管轄税務署に給与支払事務所等の開設届出書を提出しましょう。提出期限は、従業員を雇用してから1ヵ月となっています。

飲食店開業を成功させるポイント


飲食店開業時のポイント

最後に、飲食店開業を成功させるポイントを3つ紹介します。

コンセプトをしっかりと作る

飲食店を廃業させないためには、最初のコンセプト作りがとても重要です。コンセプトが決まっていると、運営に一貫性が生まれ、ターゲットとなる顧客層に受け入れられやすい事業を展開できます。

コンセプトは7W2Hで決めていくのがおすすめです。7W2Hの項目を一つずつ考えて、理想とする飲食店営業のイメージを固めていきましょう。

  • Why:なぜ開業するのか
  • When:いつまでに開業するのか
  • Where:どのエリアで、どのような店を開業するのか
  • Who:誰が、どのようなメンバーで開業するのか
  • Whom:誰をターゲットにするのか
  • What:どのようなメニューで開業するのか
  • Which:どのメニューをメインにするのか
  • How:どうやって集客するのか
  • How much:どのくらいの時間とお金をかけて開業するのか

6ヵ月分の運用資金を用意しておく

日本政策金融公庫の「新たに飲食業を始めるみなさまへ創業の手引+」によると、飲食店を開業した約6割の企業が、事業が軌道に乗り始めるのに6ヵ月以上かかっています。そのため、事業が軌道に乗るまでの6ヵ月分の運転資金があると、ある程度安心して事業に取り組めるでしょう。

運転資金の目安は店舗の規模によって異なりますが、1,000万円程度だといわれています。1ヵ月にかかる仕入れ代金や家賃、人件費を算出し、予想される経費の6ヵ月分を目安に、運転資金を用意しておきましょう。

参考:日本政策金融公庫「新たに飲食業を始めるみなさまへ創業の手引+」

販促ツールを活用する

効率的な集客を行なうためにも、グルメサイトやSNS、Googleビジネスといった複数のツールを活用しましょう。自分で販促ができない場合は、外部に委託することも大切です。

販促ツール次第で売上が大きく変化することもあるため、ツールの効果を見極めながら、さまざまな集客方法を検討してみてください。

まとめ

飲食店の開業では、コンセプトの決定からオープンまでおよそ1年かかるといわれています。開業にあたっては、店舗や備品の準備、資格取得、各種届出など、さまざまな作業・手続きを行なわなければなりません。

オープン日から逆算して、いつまでに何をしておくべきかを明らかにし、できるだけ早めに準備を進めておきましょう。



この記事を書いた人

長谷川博俊(はせがわひろとし)

長谷川博俊(はせがわひろとし)

2019年折兼に営業職として入社し、名古屋支社に配属。
現場での営業経験を積んだのち、2022年に通販事業部に異動。
通販MDとして容器スタイルの掲載商品数増や、名入れスタイルの顧客対応をしています。
MDとして培った商品知識を生かした記事を執筆していきます。

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