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キッチンカーの清掃方法を解説!

キッチンカー

この記事は、食品容器・資材専門の通販サイト「容器スタイル」が監修しています。

キッチンカー事業は年々増えており、東京都内の「自動車での飲食店営業」は、2015年が2,421件なのに対し、2020年では3,794件と、5年間で1.5倍以上増えています。

キッチンカーは開業費用が安く、車1台分のスペースで販売が可能、なおかつ広範囲に移動ができるというメリットがあり、今後も開業する人は増えると思われます。

一方、キッチンカーで購入した商品が原因の食中毒事故も発生しており、衛生知識が行き渡っていないというのが現状です。
特にキッチンカーは個人で経営している場合も多いので、一度の事故で廃業に追い込まれる可能性もあります。

衛生管理対策をしっかりと行い、安心安全なキッチンカーづくりをしましょう。


食品衛生法の改正とキッチンカーの実態

2021年に施行された改正食品衛生法により、キッチンカーの営業許可や設備基準の枠組みが大きく変わりました。

キッチンカーの営業許可

食品衛生法の改正に伴い、キッチンカーの営業許可業種が「飲食店営業」に一本化されました。

改正以前は販売する品目によって、「菓子製造業」や「喫茶店営業」などの許可を別々に取得する必要がありましたが、今後は飲食店営業許可のみで営業ができるようになります。

キッチンカーの設備基準

今まではキッチンカーの設備基準は自治体ごとに定められており、県をまたいで営業するためには各自治体の要件を満たす必要がありました。

今後は全国統一の基準で営業が可能になり、販売エリアの拡大、移動距離の伸長が可能となります。

これまで都道府県ごとに定められていた設備基準に関しては、各都道府県の「推奨」項目として残っていくと思われます。

非接触水栓の導入

法律改正により、手洗い用の水栓についても変更があり、手を触れずに水を止められる水栓以外が認められなくなりました。
従来のような手でひねるタイプの水栓だと、水を止める際に水栓を触ってしまい、手洗い後の手が再汚染されてしまう恐れがあるためです。

「手を触れずに水を止められる水栓」としては、センサー式や足踏み式、肘で止水するレバー式などがあります。

タンク容量による調理工程や品数の違い

改正された食品衛生法では、キッチンカーの給排水タンクの容量ごとに、提供できる品数や調理工程が規定されています。


タンク容量 品数 調理工程 車内での仕込み 食器
40L 単一品目 単一工程(盛る・温める・揚げる等) × 使い捨て食器
80L 複数品目 2工程までの簡易な調理 × 使い捨て食器
200L 複数品目 複数工程からなる調理 通常の食器

車内での仕込みが不可能な場合(40L、80L)は、別途営業許可を取得した場所で仕込みをするか、カット野菜や冷凍食材などの加工済み食材を使う必要があります。
また、タンクの水容量と同容量の排水設備が必須となります。

キッチンカー仲介・マッチング業者視点から見た衛生管理

某洗剤メーカーがキッチンカーの仲介業者、マッチング業者に対し、キッチンカーの車内衛生についてヒアリングを実施したところ、

  • 大規模イベント時の出店が増えたため、行政が規定する衛生基準は年々厳しくなっている。
  • オーナーがきちんとした衛生管理に努めてもらわないと、ユーザーは「キッチンカーは不潔」という固定観念から脱することができず、業界としても「飲食事故の増加→保健所指導が厳しくなる→キッチンカー参入へのハードルが上がる→キッチンカー業界の縮小」という可能性もあり心配。
  • 稼働時間や清掃に充てられる時間帯などが固定店舗と異なるため、キッチンカー独自の衛生管理の手法が必要。

といった声が上がりました。

上記を踏まえてキッチンカーの実態を考えると、キッチンカー業界自体が急速に拡大した市場であるため、開業・経営・安定収入のためのノウハウだけが先行し、飲食を扱うプロに必要な衛生知識を学ぶ機会が少ないようです。

そこで、このブログでは衛生管理のポイントをご紹介します。

キッチンカーの清掃方法とおすすめツール

ここからは、キッチンカー内の場所別の清掃方法と、オススメの清掃ツールについて紹介します。

フライヤーの清掃

使用後のフライヤーには揚げカスが溜まっています。
揚げカスを放置すると、フライヤー内で詰まって故障の原因になりえます。

また、排気口周りには焦げ付いた油汚れが貯まりやすいです。
放置すると発火の原因となりますので、定期的な清掃が必要です。

  1. 油を全て落とし、お湯を張る油を落とす前に、油をある程度(少なくとも90℃以下まで)冷ます必要があるので、閉店の30~45分前に火を止めておくと、閉店後すぐに清掃に入ることができます。排油口に揚げカスが詰まった場合は棒などで押し出して詰まりを解消しておきます。
  2. 中性洗剤(食器洗剤など)を入れて攪拌する
  3. 洗剤を落とし、きれいな水に入れ替えてこすり洗いをする※排気口も汚れやすいので一緒に清掃します。
  4. 洗剤が完全に無くなるまで水を入れ替えてしっかりとすすぐ
  5. 残った水気をペーパーでふき取る

油汚れがひどい場合は、中性洗剤の代わりにワイドマジックリンで清掃します。
油を落としたら水を張り50度くらいに温めた後、粉末のワイドマジックリンを入れて攪拌。
洗剤水を落としたらこすり洗いで焼き付き汚れも落とせます。
水を3回程入れ替えてしっかりすすぎ、洗剤を残さないようにします。


グリドル・鉄板の清掃

グリドルには焦げ付き汚れが発生しやすく、時間が経つほど酸化が進み、汚れが除去しにくくなります。
放置した焦げが商品に混ざり、異物混入クレームになる場合もあるので、日々の清掃で汚れをリセットすることが大切です。

  1. 鉄板の火を消し、ヘラなどで焦げを落とす
  2. グリドル用クリーナーを注ぐ ※最も洗浄効果を発揮するのは150~200℃
  3. グリドルパッドでクリーナーを全体に広げ、軽くこすりながら汚れを落とす
  4. ヘラでクリーナーのカスを取り除き、水ですすぐ
  5. 水気を取り、鉄板が乾いたら食用油を塗る

使用するクリーナー、スポンジによって、効果を発揮する温度や耐熱温度が異なります。
必ず製品説明書を読んでからご使用ください。


シンクの清掃

シンクは食材由来の汚れや水垢汚れ、油汚れなど、様々な汚れが溜まりやすいです。
汚れが取れにくい場合やリセット清掃をする場合は、汚れの種類に応じて洗剤を使い分けることをおすすめします。

日常の清掃

  1. 中性洗剤を含ませたスポンジで取っ手、蛇口まわりを洗う。根元部分や入り組んだ部分はブラシでこすって汚れを落とします。
  2. シンクの目に沿ってスポンジでシンク内を清掃する
  3. ゴミ受け内のゴミを取り除き、ブラシでゴミ受け、排水口の汚れを落とす
  4. 水で洗い流し、残った水気をペーパーなどでふき取る

汚れがひどく、スポンジだけでは汚れが取れない場合はメラミンスポンジの使用をおすすめします。

水垢汚れの除去

水垢よごれはシンク内についた白いウロコ上の汚れで、水分中のミネラルと食品中のカルシウムがくっつき、固まったものです。
水垢汚れはアルカリ性の汚れのため、クエン酸や酢などの酸性の洗浄洗剤を使って清掃します。

  1. クエン酸水(水100mlに対してクエン酸小さじ1/2)または酢水(水100mlに対して酢200ml)を作る
  2. 汚れている箇所にスプレーし、1時間ほど放置する
  3. スポンジでこすり、水でよく洗い流す
  4. 水気をよく拭き取る

頑固で落ちない水垢汚れの場合は、クエン酸か酢水を含ませたペーパータオルを貼り付け、1時間程汚れに染み込ませてからスポンジでこすると落ちやすくなります。

石鹼カスの除去

石鹼カスは「金属石鹼」と「酸性石鹼」の2種類あり、金属石鹼は主に水回りに、酸性石鹼は主に浴室に発生します。
シンク内で見られる石鹼カスは石鹼中の油分と水道水中のミネラルが混ざってできる金属石鹼で、酸性洗剤を使って落とす必要があります。
清掃方法は、上記の【水垢汚れの除去】と同じです。

排水口のぬめり掃除

ぬめりの原因は、排水口を通る水や汚れによって増殖した雑菌です。
放置すると悪臭やつまりのもとになるので、重曹とクエン酸を使って定期的に清掃しましょう。

  1. 排水口に重曹をまんべんなくかける
  2. その上から2倍の量のクエン酸をかける
  3. クエン酸と同量のぬるま湯(50℃程度)を少しずつかける
  4. 発泡してきたら30分~1時間ほど放置する
  5. 洗剤を洗い流し、汚れの残りがあればブラシでこする
  6. 水気を拭きとる

サビ落とし

シンクなど、水回りの設備はステンレス製が多いですが、ステンレスも全く錆びないわけではありません。
もらいサビや塩分の付着などによって錆びることがあります。
サビを落とすには研磨して剥がすしかないですが、研磨力の強いスポンジやクレンザーを使うとステンレスが傷つき、さらに錆びやすくなってしまいます。
傷をつけにくいクリームタイプのクレンザーと研磨粒子の入っていないスポンジの使用がおすすめです。

  1. スポンジ(研磨粒子なし)にクリームクレンザーをつけ、錆びた箇所をこする
  2. 水で洗い流し、水気を拭き取る

調理器具・食器の清掃

調理器具に汚れや菌が付着していると、調理器具を通じて汚染が広がります。
特に、加熱工程の無い商品を出すキッチンカーは、一度菌が付着すると殺菌する手段がありません。
食中毒事故を起こさないためにも、普段の洗浄をしっかりと行い、清潔に保つことが大切です。

  1. 中性洗剤で洗浄する
  2. すすいだあと、水気をよく拭き取り、食品添加物アルコールで消毒する

ショーケース・窓の清掃

ショーケースや窓はお客様が一番初めに見る場所です。
ショーケースや窓が汚れていると不衛生な印象を持たれ、購買意欲が低下してしまいます。

清掃方法は、アルコールによる拭き掃除です。
食品に触れる可能製があるので、食品添加物アルコールの使用が望ましいです。

汚れが目立つ場合は、中性洗剤で汚れを落とし、水拭きします。

スキッシュVは拭きスジが残らず、清掃と食中毒対策が一度にできます。


給水タンク・排水タンクの清掃

安心安全な製品をお客様に提供するための第一歩は、安全な原材料・水を使用することです。
給水タンクが汚れていると、調理や清掃に使う水の安全性が担保できません。
また、排水タンクには細かい食材くずが溜まりやすく、腐敗臭のもとになります。

  1. タンク内の水を捨てる
  2. 水と一緒にハイターを入れ、2分ほどおく ※持ち運びできるタイプのタンクの場合は、タンクを振るとより効果が高まります。
  3. 中身を捨て、ハイターが残らないよう水でよくすすぐ

清掃頻度としては、タンクは毎日水ですすぎ、3日に1回は上記のハイターを使用した清掃をおすすめします。


床の清掃

床にはキッチンカー内の床は調理時の油が飛んだり、食品くずなどが落ちたりと、汚れが溜まりやすいです。
放置すると転倒事故などにもつながりますので、定期的に清掃し、働きやすい環境をつくりましょう。

  1. 油汚れ用洗剤を使用してこすり洗いする
  2. 水で洗い流す

床が水洗いできない場合は、ウェットシートなどで拭き掃除します。


まとめ

キッチンカーは年々出店台数が増えており、まさに盛り上がっている業界です。
一方、食品衛生法の改正など、衛生に関する規制も厳しくなっています。
清掃でキッチンカー内を清潔に保ち、食中毒事故ゼロを目指しましょう。



この記事を書いた人

古澤 長流(ふるさわ たける)

古澤 長流(ふるさわ たける)

2018年折兼に営業職として入社し、名南営業所に配属。
現場経験を積んだのち、2019年に折兼ホールディングスの衛生管理グループに異動・転籍。
日々、衛生について勉強中。
大学時代は病原菌について研究していたので、学んだことを生かして食の安全に役立つ記事を執筆していきます!

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