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【2024年4月1日の施行迫る】労働安全衛生法改正に伴う「保護具着用の義務」について分かりやすく解説!

この記事は、食品容器・資材専門の通販サイト「容器スタイル」が監修しています。

化学物質を原因とした労働災害や、がん等の遅発性疾病が後を絶たないことから、2022年5月31日より「新たな化学物質規制の制度」が導入されました。

今回2024年4月1日より、その中の「健康障害を起こすおそれのあることが明らかな物質を取り扱う場合の保護具着用」が努力義務から義務に変わります。

特に食品関連業界で消毒液として広く使用されている「次亜塩素酸ナトリウム水溶液」なども保護具の【使用義務の対象】です。

本記事では、保護具が必要となるケースや、適切な保護具の選定方法などを解説します。
飲食店ならびに該当事業者の方は、施行前にしっかりとチェックしておきましょう。

厚生労働省「労働安全衛生法の新たな化学物質規制」:https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001083280.pdf


労働安全衛生法の改正

2022年5月31日に改正労働安全衛生法が公布され、2023年4月1日、2024年4月1日の2段階で施行されました。
2024年4月1日に施行される項目の一つに「皮膚等障害化学物質等への直接接触の防止」があり、これがいわゆる「保護具の着用義務化」になります。

保護具の着用義務について

保護具着用の義務化は、「健康障害を起こすおそれのあることが明らかな物質」を取扱いしている事業者が対象になります。
一般家庭向け製品のみを使っている場合は法律の対象外とはなりますが、従業員の安全確保のために着用することが望ましいです。

まずは、健康障害を起こすおそれのあることが明らかな物質を取り扱っているかを確認しましょう。
使用している洗剤・薬剤のSDS(安全データシート)を確認すれば、その洗剤・薬剤に健康障害を起こすおそれのあることが明らかな物質が入っているかを確認する事ができます。
SDSは、メーカーのホームページからダウンロードしたり、購入先に問い合わせることで入手する事ができます。


次に、SDSの「2 危険有害性の要約」の項目を確認します。


SDSの2 危険有害性の要約の項目

記載された有害性情報のうち、

・皮膚腐食性・刺激性
・眼に対する重篤な損傷性・眼刺激性
・呼吸器感作性又は皮膚感作性

のどれか一つでも「区分1」に分類されているものがあれば、保護具着用の義務対象(健康障害を起こすおそれのあることが明らかな物質が入っている)となります。


続いて、SDSの「8 ばく露防止及び保護措置」の項目を確認します。


SDSの「8 ばく露防止及び保護措置」

洗剤・薬剤ごとに着用するべき保護具の記載があるので、適切な保護具を着用するようにしましょう。

消毒液として使われている「次亜塩素酸ナトリウム」や、油汚れ用洗剤に含まれる「水酸化ナトリウム」「水酸化カリウム」なども保護具着用義務の対象なので、飲食店でも注意が必要です。
該当する物質を取り扱っている場合は保護メガネ、保護手袋などの保護具を準備しましょう。

ちなみに、有害性情報に「区分1」が無くても、健康障害を起こす可能性がある洗剤や薬剤を取り扱う場合は、保護具の着用が努力義務とされています。
大切な従業員の健康を守るためにも、できる限り保護具は着用するようにしましょう。

飲食店における適切な保護具の選び方


手袋を装着して皿洗いする様子

作業の確認

まずは、実際に洗剤や薬剤を使う作業を確認し、その作業がどれくらい危険かを判断します。
下記の項目に沿うと、イメージがしやすいです。

・使用時の状況
 換気はされているか、洗剤が飛び散りやすい作業か、など

・作業時間
 準備や片付けの時間も含めて、作業時間が長いほど健康被害のリスクは高まります

・作業頻度
 頻度が多いほど健康被害のリスクは高まります

・使用量
 使用量が多いほど健康被害のリスクは高まります

・症状の有無
実際に使っていてアレルギー反応はあるか、刺激性はあるか、など

・特別な配慮の必要な労働者の有無
 肌の弱い人、新人、日本語の不得意な労働者などはいないか

材質の選定

作業の危険性を判断した上で、保護具の材質選定に進みます。
取り扱う「健康障害を起こすおそれのあることが明らかな物質」によって、保護具の材質を決定します。

飲食店で使われているのは、主に下記の化学物質です。
・次亜塩素酸ナトリウム(ハイター、漂白剤など)
・水酸化ナトリウム(油汚れ用洗剤、食洗機用洗剤など)
・水酸化カリウム(油汚れ用洗剤、食洗機用洗剤など)

これらの化学物質は、ニトリルゴムやPVA、PVC、LLDPEなどの材質で概ね防ぐことができます。
また、化学物質に対する材質の耐性データが無くても、商品ごとに個別に耐性試験をしている製品も多くあります(JIS規格取得製品など)

材質と合わせて、商品選定の参考にしてください。

+α情報

上記3種類以外の「健康障害を起こすおそれのあることが明らかな物質」が入っている洗剤・薬剤は多数存在します。
(例)トイレクリーナー、強力な油汚れ洗剤、など

「健康障害を起こすおそれのあることが明らかな物質」のリストは厚生労働省から公表されており、誰でも見ることできます。
不浸透性保護具使用義務物質リスト

SDSの「3 組成及び成分情報」の項目に、どんな化学物質が入っているかが記載されているので、「不浸透性保護具使用義務物質リスト」と照らし合わせる事で、どの化学物質に気を付ければいいかが判断できます。
判断が難しい際に試してみてください。


SDSの「3 組成及び成分情報」

適切な保護手袋の選び方

危険性の低い作業では使い捨て手袋、危険性の高い作業は分厚い手袋をすることをお勧めします。

適切な保護メガネの選び方

洗剤などがかかった際に目を保護できるよう、試験を受けたものが望ましいです。
危険性の低い作業には安価なメガネタイプ、危険性の高い作業には密閉度の高いゴーグルタイプをお勧めします。

適切な保護衣の選び方

危険性の低い作業にはエプロンタイプ、危険性の高い作業にはツナギ服タイプをお勧めします。
化学物質に対する試験をした製品かPVAやPVC、LLDPEなどの透過試験データのある材質の製品が良いです。

適切な長靴の選び方

PVCのような、薬剤への耐性データがある製品が望ましいです。
各商品がどの程度の性能を持つかどうかは、商品取扱いページを確認するか、見当たらない場合はメーカーにご確認ください。

保護具使用の注意点


テーブルを消毒する店員

①着用前に傷、穴あきを確認

傷や穴あきがあると、そこから洗剤や薬剤が染み出し、肌や目に触れてします可能性があります。
着用前の確認で、労災事故を防ぎましょう。

②サイズ、アレルギーの確認

保護具のサイズが合わないと、作業性が低下したり、作業中に保護具が外れる恐れがあります。
また、ラテックス素材や粉付き手袋の粉によって、手が荒れる場合もあります。
事前にアレルギーの有無などを確認しておきましょう。

③かぶれやかゆみが生じたら使用をやめる

保護具を着用していても、保護具の選定ミスや劣化によって化学物質が染み出す可能性があります。
かぶれやかゆみが生じたらすぐに使用をやめ、該当部位を洗い流し、必要に応じて医療機関を受診してください。

④定期的な交換と予備の保護具の用意

保護具は使い続けると必ず劣化していくので、定期的に交換してください。
また、作業中に保護具が破損する場合もあるので、予備の保護具を常備しておくようにしましょう。

飲食店向け保護具のおすすめ商品

PSニトリルスタンダ-ド粉無 白


極薄の使い捨てニトリル手袋。
食品衛生法適合。危険性の低い作業に。

こちらのシリーズは日本で初めてHACCP製品認証を取得しています。
食品安全の観点で評価されており、調理や盛り付け等幅広い用途でご利用いただけます。

PSニトリルスタンダ-ド粉無 白

作業用手袋 No350 モデルローブ ニトリルハード中厚手S エステーPRO


中厚手のニトリル手袋。
食品衛生法適合。危険性の高い作業に。

薬品・オイル・グリスなどに強い耐性があり、突き刺しにも強い丈夫な手袋です。

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ガードファイン袖付エプロン手首ゴム10枚入


ポリエチレン製の使い捨てエプロン。
袖付きで腕まで保護。食品衛生法適合。危険性の低い作業に。

まとわりつきにくいエンボス加工が施してあり、作業性も〇

ガードファイン袖付エプロン手首ゴム10枚入

長靴 ゾナ G3耐油 白


PVC(塩ビ)製の長靴。耐油使用で厨房にぴったり。

長靴 ゾナ G3耐油 白

保護メガネ クリーンガード V10ユニスペック 日本製紙クレシア


ANSI Z87.1適合品 / JIS T 8147適合品。
めがねの上から装着可能です。
※有害光線やレーザー光からの保護には使用できません。

保護メガネ クリーンガード V10ユニスペック 日本製紙クレシア

まとめ

健康障害を起こすおそれのあることが明らかな物質を取扱いしている事業者は、保護具の着用が義務となります。
ただし健康障害を起こすおそれがない場合でも、保護具の着用により作業面でのリスクは軽減できます。
この機会に作業で使用している物質や保護具について確認してみてはいかがでしょうか。



この記事を書いた人

古澤 長流(ふるさわ たける)

古澤 長流(ふるさわ たける)

2018年折兼に営業職として入社し、名南営業所に配属。
現場経験を積んだのち、2019年に折兼ホールディングスの衛生管理グループに異動・転籍。
日々、衛生について勉強中。
大学時代は病原菌について研究していたので、学んだことを生かして食の安全に役立つ記事を執筆していきます!

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